ここで紹介するPLC(Power Line Communications)とは、コンセントの電力線を使った通信のことです。
例えば、1階にあるインターネット接続用のモデムやONUなどの通信機器から2階までを壁の中にあるコンセントの電線を利用して通信しようというものです。
私の知人の一人に、PLCを使って家の中でインターネット接続をしていた人がいます。
彼は、リタイヤ後、家にいることが多くなり、ときどきパソコンを使って、仕事をすることがあります。
最近、スピードが落ちたり接続できなかったりするというので、見てくれないかと相談がありました。
電話で、PLCの機器も古いので、WiFi用の無線ルーターにしたらと提案してみました。
現地で点検すると、原因は、どうやら隣の工場から発生するノイズのようでした。
1日目(原因、わからず)
平日の夜、相談者の家に行きました。
通信機器やケーブル、最近、電気工事をしなかったかなどを確認しました。
PLC機器をコンセントから外し、モデムから短いLANケーブルでパソコンに接続した場合は問題ありません。
PLC機器を接続すると速度が落ちます。
速度低下がないこともあります。
速度が安定しません。
ネットワーク回線が原因なのか他の要素なのか不明です。
1日目は原因がわかりませんでした。
速度低下が起きる時間を記録してほしいとお願いしておきました。
2日目
速度が落ちる時間は、平日の昼間が多いようです。
リタイヤする1,2年くらい前から、ときどき速度低下を感じていたようです。
昼間、彼は仕事をしていたため、あまり気にならなかったようでした。
娘さんは、数年前に家を出ています。
現在、家族でインターネットを使う人は彼の他にいないので、困る人はいなかったそうです。
念のため、娘さんに数年前の状況を教えてもらうよう、彼に電話をかけてもらいました。
この家に住んでいた数年前は、問題なかったようです。
知人の家の隣は、小さな工場で溶接を行っているようです。
夜間、工場が終了する時間前後に速度確認を行いました。
工場が停止する1時間くらい前に、速度が改善されました。
終わってから、片付けや掃除などをやっているのかな。
原因が隣の工場だと確信をもてなかったので、知人に工場の稼働時間とインターネットの接続状況の関係を記録してもらうことにしました。
3日目
数日間の記録から、工場が稼働している間、速度低下が起こっているようです。
また、知人は、隣の工場主と話をしたらしく、古い溶接機があるらしく、それが原因かもしれないと思ったそうです。
工場内の溶接機や他の金属加工機器は、修理をしながら使っているとのことです。
社長さんは、自分で修理することも多いそうです。
知人は、工場内を見せてもらったところ、電源フィルター等は、入っていないように見えたようでした。また、ケーブル等も乱雑に置いてあったそうです。
私と知人は、事前に電源フィルターや電源ケーブルからのノイズ等について話し合っていました。
知人は、工場主にインターネット接続に悪影響があるかも?ということは話さず、「テレビやラジオにノイズが出ないか?」と聞いてみたそうです。
テレビは、地上波デジタルになってからは、ノイズなど、外部からの影響を受けにくいと言われています。
しかし、知人によるこの質問から、工場主さんは、察したのかもしれません。
その後、数台保有している溶接機の一部を新しくしたそうです。
原因が工場かどうか、あるいは、どの溶接機か確定しませんでしたが、知人は、PLCからWiFi環境にすることにしました。
2.4GHz、5GHzどちらも使えるタイプを購入し、5GHzで使っています。
家庭内LANの環境が変わったのを機に、知人は、ネットワーク上にハードディスク(NAS)を接続して使うことにしました。お孫さんの写真や動画をハードディスクに保存しています。
PLCより、今回、構築したWiFi環境のほうが高速なので、お孫さんの動画を見るのに、ちょうどよかったと思います。