キーボード・マウスなど、USB接続する機器を切り替える機器が各社から販売されています。
ワイヤレス(Bluetooth、2.4GHzUSBアダプター)のキーボードやマウス本体でも、切り替えが可能な製品も出ており、USB機器が不要な環境もあると思います。

しかし、ワイヤレス機器が不安定であるため、USB接続しなければいけない環境や業務があります。
切替可能なワイヤレス式のキーボードやマウスでも、それぞれを切り替え操作するより、まとめて切り替えたほうが楽だと思います。
勤務先で、同僚が別々のものを購入し、試用してみました。
職場は、誰かが、こうした機器を購入し、安定して使えれば、周りの同僚たちが真似して購入しますので、ほかにもよい製品があると思います。
2020年現在、比較的安定している以下の3つの製品を同僚たちが使っていますので、紹介します。
・エレコム KM-A22BBK(USB2.0)
・サンワサプライSW-US32(USB3.0)
・UGREEN 2in4out USB Sharing Switch Box(USB3.0)
いずれも、電源が不要なタイプです。
どれも、使っていると何らかのトラブルがあります。こんなものかなと割り切って使うしかないと思います。
勤務先の主なパソコン環境は、2台あるパソコンのうち、1台が社内LAN専用でインターネット接続やUSBメモリなどができません。ただし、USB接続の外部キーボードやマウスを使うことができます。もう1台は、インターネット接続やUSBメモリ等の接続ができるものです。
ほとんどがWindowsパソコンです。
デザイン担当者は、WindowsとMACです。
外部ディスプレイ、キーボード、マウスを、まとめて切り替える切替器が売られていますが、高価であるため購入する人はいません。同僚たちは、ディスプレイ本体にHDMIケーブルを2本接続し、ディスプレイ本体で2台のパソコンを切り替えています。
USBのパソコン切替器の問題点について
このような切替機器は、パソコン切替器、KVM(Keyboard、Video、Mouse)スイッチ、CPU切替器等と呼ばれています。
以前は、機械的(物理的)なスイッチやリレーで切り替えるものがありましたが、パソコン起動時などにキーボードなどが接続されていないと、起動時にエラーが表示される問題もありました。
また、機械的なスイッチは、接触不良などのトラブルも発生しやすいです。ケースを外して、接点の掃除(接点復活材等をスプレーするなど)することがあります。高価な製品でしたので、すぐに交換できませんでした。
最近の切替器は、パソコンやACアダプターから電源を取り、電子的に切り替えているため、こうしたトラブルが無いよう設計されています。切替器に接続されていないパソコンにも、切替器からコンピューターにキーボードやマウスが接続されているよう信号を送るしくみになっています。
このしくみのためか、スリープからの復帰や2台のパソコン起動やシャットダウン、突然の再起動等により、信号がうまく伝送されなかったり、信号のタイミングのずれ等により、トラブルが発生するのではと考えられます。
パソコン切替器の主なトラブル?の例
・パソコンがスリープ状態から復帰した後、接続したキーボードやマウスなどが認識できないことがある。
・切替直後にパソコンがフリーズすることがある。
・接続機器が認識されないかったり、誤って認識されることがある。
・片方のパソコンをシャットダウンすると、起動している側のパソコンに接続できないことがある。
・片方(PC1)をシャットダウンすると切り替えることができない。切替器の電源は、パソコン(PC1が多い?)から取っており、PC2のみ使いたいときにPC1を起動しないと使えない。PC1がOFFのとき、PC2に接続するように設定されているものもある。同一機種でも、PC1がOFFでもPC2が使えるよう改修されている場合もある。
こうしたトラブルは、パソコンを再起動すると動作するようになることが多いです。
また、2台ともパソコンが起動している状態で使うのが前提だなと思います。
パソコンがスリープ状態にならないよう設定しておくとトラブルが少ないです。
試した3つの切替器に有線でキーボード・マウスを接続した状態での切替時間は、1~5秒程度です。10~20秒程度かかることがありますが、別の原因のような気がします。
USB3.0対応の新しい機器ほど、早く切り替わるようです。
この3つの切替器の中で、早く切り替わり、安定していると感じたのは、UGREENの製品です。
キーボード、マウス接続環境では、有線(東プレ、PFU、富士通コンポーネント、マイクロソフト、ロジクール、エレコム他)、無線(2.4GHzワイヤレス:ロジクール製品)ともに、エレコム KM-A22BBKが、トラブルが少なく安定しているようです。USBケーブルの延長はしていません。定量的な検証をしたわけではありませんが、同僚からの感想等からです。社内では、これを使っている人が多く、不満も少ないです。
切替スイッチは、キーボードの右上あたり(左上は「ESC」キーや「F1」キーがあり邪魔になるから)にマジックテープなどで貼り付けて使っていたり、外部ディスプレイ(ディスプレイも切り替えているため近くに配置)や机の上に直接貼り付けていたりします。
USBメモリやHDD、DVDドライブを接続すると認識されない
在宅でも社用PCを持ち帰ったり、複数のパソコンを使用したりしていて、自宅で使っている人もいます。
消費電力が小さい機器なら、認識され動作するようです。
キーボードとマウス、USBメモリやカードリーダー、Webカメラ等は、認識されることが多いようです。
消費電力が大きい機器、例えば、DVDドライブ、ゲーム機、外付けHDD、プリンター、スキャナー等を使う場合、電源が不要なこれらの切替器では、認識しなかったり、動作しないことがあります。こうした機器を接続する場合、外部電源を接続できるタイプを選択します。UGREEN製の切替器は、別売りでACアダプターが用意されています。UGREENのサポートは、Amazonのレビューを見ると誠実に対応してくれるようです。
一部のノートPCでは、USB電源供給の能力が低いものがあります。
切替器に接続できるUSB機器の消費電力に余裕があっても、パソコンの能力が低い場合があります。
エレコム KM-A22BBK(USB2.0)
・パソコン2:USB機器2
・消費電力の合計500mA
・ACアダプター不要です。
・ケーブル付属(一体型のため本体に接続済み)パソコン側1.2m
・手元スイッチとして、スイッチ部分が独立しています。ケーブル接続(1.8m)で手元に設置できます。
付属のマグネットシートでスチール製のデスク等に取り付けられますが、マグネットが磁力が弱いです。
デスク上の場合は、両面テープやマジックテープなどで固定するとよいと思います。
手元スイッチ部分が軽いので、スイッチを貼り付けできない場合、コードのくせにより浮いてしまいます。コードに触れるだけでスイッチ部分が動いてしまいます。
切替
手元スイッチのLEDの色でつながっているパソコンが判別できます。
LED緑色:PC1に接続
LED橙色:PC2に接続
この3つの中で一番安定して使えるのですが、業務利用環境下での寿命は、半年から1年です。切り替えても認識できなくなったり、切替ができなくなります。
1400円前後で購入できるため、壊れても、また買う同僚もいます。
サンワサプライ SW-US32(USB3.0)
・パソコン2:USB機器2
・ケーブル2本付属(1.5m)
・ACアダプター不要です。
・消費電力の合計900mA
・USB3.0なので転送速度が早い。外付けHDDなどの接続に便利。
ポータブルタイプの外付けHDDは、問題なく動いています。
LED部分がスイッチになっています。
青色が眩しいそうです。上からビニールテープなどを貼ったり、黒マジックで減光している同僚もいます。
切替スイッチを押しても反応しないことがあり、数回押してしまうことがあるそうです。
ノートPCの一部でUSB電源供給が少ない環境の場合
UGREEN 2in4out USB Sharing Switch Box(USB3.0)
・パソコン2:USB機器4
・USBケーブル×2本付属(1.5m)
・ACアダプター不要です。必要があれば別売りの電源を購入します。
・USB3.0なので転送速度が早い。外付けHDDなどの接続に便利
・消費電力の合計:不明
高級感があります。
Windows/MAC、MAC/MACの同僚がいます。問題は感じないそうです。
MACを使っている人には評判がよく、これを購入したそうです。
スイッチは押しやすいと思います。
USB機器が4台接続できますから、キーボード、マウスだけの接続なら、ほかに2台接続できます。USB3.0ハブとして使用できます。
PFU(HHKB)、東プレ、富士通コンポーネントのキーボードも、同僚たちから不満は聞かれません。問題なく使えるようです。
接続先を表すLEDが暗いという感想をもつ人もいます。
私は、2台の切替なら、どちらが接続されているかすぐに判別できるので、明るすぎずちょうどよいと思います。もし、3台以上のパソコンを接続するなら、もう少し明るいほうがよいと思います。
サンワサプライ SW-KM2UU、400-SW032
・パソコン2:USB機器2
・USBケーブル片側本体に接続済み2本(0.9m)
・ACアダプター不要
この機器は、キーボードを多用する人には不向きです。
2台のPC切替は、CTRLキーまたはScroll Lockキーを2回押すことで、切り替えますが、誤動作することがあります。Ctrlキーを押しながら別のキーを押すショートカットキー(CtrlキーとZキーを同時押し:直前の状態に戻る)を使うときに誤動作します。おそらく、Ctrlを小刻みに2回押してしまう状態が生じるためだと思います。
WindowsとMACを使っているデザインを担当する同僚2名が、400-SW032を使っています。特に不満はないそうです。
価格は、いずれも約3,500円です。
エレコム U2SW-T2(USB2.0)
・パソコン2:USB機器1
・ケーブル2本付属(1.0m)
・ACアダプター不要
価格は1,500円程度ですので、エレコム KM-A22BBKを購入したほうがよいと思います。
同僚1名が有線のキーボードを切り替えて使っています。
HDDを切り替えて使うために購入したが、認識できなかったそうです。
スイッチがスライド式のため直感的です。また、他の切替器のスイッチのように押し込む操作をしないため、壊れにくいようです。
サンワダイレクト400-SW020(USB2.0)
・パソコン2:USB機器1
・ケーブル1本付属(1.8m)
・ACアダプター不要
価格は2500円前後
ケーブルを追加購入する必要があります。
他のものを検討したほうがよいと思います。
配線をすっきりさせる
パソコンや周辺機器の背面にケーブルがまとめられると、デスクが広く使え機能的です。
切替器の多くは、信号の流れがわかるような配置になっており、入力、出力ポートやケーブルが本体の前面と背面にあり、本体とケーブルを置くスペースを取られてしまいます。
USBのL型アダプター等を使うと、配線がすっきりします。
ノイズが乗る
切替器を接続すると、接続されたケーブルの長さが長くなり、アンテナのように働いてしまうようです。切替時に雑音が発生したり、外部の電磁波等がケーブルに乗り、機器やパソコンの誤動作の原因になることがあります。
ノイズ対策として、フェライトコア付きのケーブルに交換したり、市販のフェライトコアを購入して取り付けると改善するかもしれません。
私の勤務先は、パソコン以外にも電磁波を発生している機器が多くあり、電話も雑音で聞き取りにくいことがあります。切替器もノイズの影響を受けていて、フェライトコアを取り付けたり、必要最小限の短いケーブルに交換して使っています。
また、パソコンの電源部からノイズが発生することもあります。オーディオ関係の信号にノイズが乗ることがあります。電源コードだけでなく、接続されているコードを通って、オーディオ機器に影響を与えてしまうことがありますから、電源コード以外のコードもフェライトコアを取り付けると改善されることがあります。
改善しない場合は、複数取り付けたり、数回巻き込んだりします。また、フェライトコアにも種類があり取り除けるノイズの種類が異なりますから、別のものを購入してみると改善することがあります。複数の雑音が重なって悪影響を与えていることもあります。
測定器がなければ、ノイズがどのような種類か判断が難しいですから、手持ちのフェライトコアをいろいろな付けてみて、試すしかないと思います。