会社で、新しいアイデア出しや改善、問題解決などをチームで行うときに使う手法です。
アレックス・F・オズボーンが考案しました。
ブレインストーミングで出されたアイデアは、KJ法などを用いて、アイデアをグループ分けし、問題解決につなげることがあります。社員研修などでも行うことがあります。
ブレインストーミングは、以下の4つのルールでアイデアを出し合います。
最終的には、何らかの結論を出すことになりますが、ブレインストーミングでは、ひたすらアイデアを出していきます。
また、出されたアイデアを否定したり批判したりしてはいけないというルールもあります。
1 4つのルール
①結論を出さない。判断しない。「結論厳禁」
ひたすらアイデアを出し、ブレインストーミングの中では、判断、決断をしません。
②「自由奔放」な発言を歓迎
奇抜なものや夢物語でもよい。発明されたものは、最初、人に笑われるようなものがあるが、どのようなアイデアでも歓迎する。ブレインストーミンでは、批判は厳禁です。批判と思われるように笑うこともダメです。自分が考えたアイデアを笑われると発言しにくくなります。
③「質より量」
量が質を向上させます。いろいろな分野の人が集まり、様々な角度からアイデアを出します。
④他人のアイデアに便乗「結合改善」。
すでに知られていることや他人が出したアイデアを組み合わせたり、変化させたりすることで新たなアイデアを出します。ほんの少し改善したものでも歓迎します。
2 ブレーンストーミングでは批判をしてはいけない「禁句」
以下のような言葉が新しい発想やアイデアの誕生を妨げます。
「そんなの無理だ」「実現は不可能」「くだらない」「できるわけない」「そんなの知っている」「わかりきっている」「意味がない」「失敗例がある」「金がかかりすぎる」「予算が足りない」
3 準備
(1)テーマ設定
テーマは具体的に設定します。
社員研修等で実施するなら下記のようなテーマを設定して練習します。
・ 希望ブレインストーミング:
「こんな乗り物が欲しい」、「こんな乗り物があったら」等、希望を挙げます。
・ 改善ブレインストーミング:
テーマに沿って改善点を挙げます。
・ 欠点ブレインストーミング:
テーマに沿って、欠点を挙げます。その後、主なものを中心的なものを選んで、改善策を考えます。
テーマは、事前に伝えておくこともできます。
初心者のチームの場合は、事前にテーマを伝えておくと、進行がスムーズです。
(2)人数は、3~8人
1、2人でもできますが、多様な考え、異なる視点で発言してもらえるよう、人数は多いほうが効果的です。人数が多すぎると、発言をしなくなる人が出てきます。
初めてブレインストーミングを行う人ばかりなら、3、4人が発言しやすいです。
経験者ばかりなら、人数が多くてもできますが、リーダー役が大変です。経験者ばかりなら、5、6人がよいと思います。
(3)机の配置は四角形、コの字型
メンバー同士が見えるように配置します。
ホワイトボードを用意する場合は、椅子だけでも可能です。
(4)ホワイトボードや模造紙を用意する。
発言内容をホワイトボードや模造紙に書き、メンバー全員が共有できるようにします。
付箋紙やカードを使ったブレインストーミング
付箋紙やカードにメンバーがアイデアを書いてホワイトボードや模造紙に貼る方法もあります。付箋紙(カード)を使うと、ブレインストーミングを行った後、付箋紙(カード)を並べ替えて行う整理分析作業がしやすいです。
付箋紙やカード1枚につき、一つのアイデアを書きます。
記述する方法をブレインライティングと呼びます。
4 ブレインストーミングの進行
(1)リーダー兼書記を決める。
リーダーは、進行役ですが、進行しながらメンバーから出された発言の内容をホワイトボードに書く役割を兼ねます。パソコンとプロジェクターを使って、投影しながら行うこともできます。
(2) ルールに従って自由に発言
話し合いに慣れたメンバーなら、どんどん発言してくれます。
メンバーが初心者なら、順番に発言してもらいます。全員が発言するよう進行します。
(3) 発言を要約して記録
発言を要約(30文字程度以内)し番号を付けて記録します。テンポよく進め、次の発言につながるように進めると効果的です。番号を付けておくと、後で、整理・分析しやすくなります。
5 ブレインライティングによる進行
以下のように付箋紙(カード)を使って行ったり、メールなどを使う方法もあります。
初めての人が多い場合や発言が出てきそうもない環境ですと、発言量が少ないこともあります。このような場合が想定されるなら、付箋を使ったブレインライティングを行うと、短い時間で行うことができます。
同時に複数のテーマについて、ブレインストーミングを行うことも可能です。
(1)テーマを伝えたら、5分程度時間をとり、付箋紙にアイデアを書いてもらいます。その後、順番に付箋紙をホワイトボードなどに貼ってもらいます。アイデアを書いた付箋紙がなくなったら、ブレインストーミングにより、追加のアイデアを出していきます。
(2)タイマーを用意し、付箋に記入するまでの時間を決めます。4人が参加しているなら、スタートとおもに全員が同時に考えて、4枚の付箋にアイデアを書き、時間がきたら、一斉に付箋をホワイトボードなどに貼ります。
(3)あるテーマについて、複数の種類のアイデアに分類できそうだと想定される場合は、あらかじめ付箋の色分けをしておくと、整理分析がしやすいです。
例えば、道路についてのテーマであれば、自治体関係は(青)、警察関係は(赤)、土木工事関係は(黄)等です。
(4)複数のテーマについて、同時に進めることもできます。台紙をテーマ分用意し、その台紙をメンバーに回して、回ってきたテーマに関するアイデアを付箋に書き貼っていきます。テーマを書いた台紙は、一定時間がきたら強制的に回すようにします。
(5)テーマを数日前に伝えおき、ブレインストーミング実施日までに付箋紙にアイデアを書いてもらいます。
(6)全員が集まってのブレインストーミングの時間を設けず、適宜、アイデアを書いてもらう方法もあります。テーマをメンバーに伝え、ホワイトボードなどにアイデアを書いた付箋紙を貼ってもらいます。
(7)事前にメールでテーマを流し、思いついたことやアイデアを返信してもらいます。その後、全員のアイデアを1つのファイルにして、全員で共有します。
付箋紙の大きさ
ホワイトボードに貼り、メンバー全員が共有しながら進めるなら、75×75mmくらいの大きめのものが見やすいと思います。2、3人で机の上に置いた台紙などを利用するなら、75×25mmくらいのものでもよいと思います。
ポストイットなど市販のもので十分です。
文字数は、30文字程度以内などと指定しておきます。大きいサイズの付箋紙を使うと、小さい文字を埋めつくす人が出てきます。
6 アイデアの評価(整理・分析)
KJ法は、川喜田次郎氏が考案したものです。
同様のアイデアをグループ化し、問題解決をはかったり、新しいアイデアを出したりするのに効果的です。
ブレインストーミングによって、出されたアイデアを付箋紙やカードに書いておくと、KJ法による作業がしやすくなります。
7 ポジティブな意見が増え、帰属意識が高まる
私の勤務先では、社員研修などで行っています。また、社内の特定の課題や、時には社会一般的な課題についてブレインストーミングを行うことがあり、上司も参加しています。
ブレインストーミングのルールに、他人の意見を否定したり批判はしてはいけません。批判されないから、ブレインストーミングを行っていなくても、多くのアイデアや意見が出てくるようになります。勤務先でブレインストーミングを行うようになって、以下のような変化が起きたと思います。
社長や上司と一般社員とのコミュニケーションが増えました。
会議などでの発言が多くなりました。
建設的な意見が多くなりました。
ネガティブな意見が出にくくなりました。
一部の幹部による「いい意見だね」「いいね」「さすがだね、神田君は」等が、社員の発言増につながっています。
これは、効果的だと思います。社員は自分の意見が上司に認められたと思います。いい気分になって、どんどん発言するようになります。
ブレインストーミングにより課題を共有することで、社員が会社の課題を考えるようになりました。自分たちで改善したり、よりよくしていこうという意識が高くなったように思います。